スペイン語の長文読解に挑戦④ 前置詞+定冠詞+que

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前回に引き続き、関係代名詞を含んだスペイン語の長文読解に挑戦していきます。

いよいよ謎の存在だったel paísの正体が明らかになり、4回に渡りあーでもねーこーでもねーとクダ巻いてた長文読解シリーズも完結でございますよ。


さて以下の文、文構造の把握は余裕でできますですかねみなさま。

ぼくギリギリまだできない。

No creo que el problema de baja natalidad por el que pasa el país se resuelva en un futuro cercano.
(国が抱えている少子化問題が、近い将来解決されるとは思いません)


口が覚えるスペイン語 より

前回のおさらい

まずは前回のおさらいです。

長文読解のコツは、

・動詞を把握する
・1文1動詞になるよう文を分ける

でしたね。

この辺の理解ががちょっとはにゃにゃふわな方は、前回までの記事が役に立つかもしれません。


1.No creo que
(私は~と思わない)

el problema de baja natalidad por el que pasa el país se resuelva en un futuro cercano.


「2」の文にはまだ動詞が2つあります。

一文一動詞の法則に従い、「」の文をさらに動詞ごとに分けようと思ったのですが、


2a.el problema de baja natalidad por el que pasa
2bel país
2cse resuelva en un futuro cercano.


2b」のel paísの扱いに悩んでしまい、分割することができませんでした。

そこで試しにel paísを「2c」に組み込んで考えてみましたが、文として成立しませんでした。

どうやらここにel paísの入り込む余地はなさそうです。


2b+2c.el país se resuelva en un futuro cercano.→文が成立しない


el paísの居場所が無い!

つまり、el paísは「2c」ではなく、「2a」の要素である可能性が高いということです。

そんなわけで今日はこの続きからです。

「2a」のpor el queを考える

el paísを「2a」に組み込んだ文が以下です。

2a+2b.el problema de baja natalidad por el que pasa el país

この文が成立するか検証していきます。

まずは明らかにやばそうな、前置詞句を含んだ関係詞「por el que」の用法から見ていきましょう。


NHK出版 これならわかるスペイン語文法
前置詞を伴う関係詞 より

文中で前置詞を伴って使われる要素には、人を表す直接目的語、間接目的語、状況補語、属詞、動詞の補語等があります。
このような語が関係詞に置き換えられる場合、「関係詞は使われている前置詞+先行詞の名詞の性数と同じ冠詞queの語順で前置詞と冠詞」を伴います。

わかりやすく言うと、「前置詞+先行詞の定冠詞+que」ということですね。

por el queは定冠詞がelとなっていますから、先行詞は男性名詞であることがわかります。

2a+2b.el problema de baja natalidad por el que pasa el país

por el queの前にある男性名詞といえば、el problemaです。
(語末がaですが例外的に男性名詞です)

つまり、先行詞は「 el problema(de baja natalidad) 」ということになります。


それを踏まえ、この「前置詞を伴う関係詞que」をさらに詳しく見てみましょう。


NHK出版 これならわかるスペイン語文法
前置詞を伴う関係詞 より

a)先行詞が、従属節の直接目的語の場合
従属節の直接目的語がaを伴う場合、関係詞は「a+定冠詞」を伴っても伴わなくてもかまいません。

b)先行詞が、従属節の間接目的語の場合
「a+定冠詞」を伴います

c)先行詞が、従属節の状況補語の場合
様々な前置詞が使われます

a)とb)は、前置詞が「a」となるので今回の例文には当てはまりません。

つまり、本日の例文にある前置詞「por」は、c)で説明されている「従属節の状況補語」が当てはまるわけです。


2a+2b.el problema de baja natalidad por el que pasa el país


por el queは従属節の状況補語!

従属節の状況補語とは?

とは言ったものの、「従属節の状況補語」とはなんでしょうか。


まず従属節とは?


今の段階では、「queより後ろの部分」と考えてよいでしょう。


2a.el problema de baja natalidad por el que pasa el país


ちなみに、「queより前の部分」を「主節」とか「主文」と呼んだりします。


そして状況補語とは?


NHK出版 これならわかるスペイン語文法
補語 より

「いつ」「どこで」「誰と」「どのように」等のように、主語と述語で表された事柄の状況を述べる文の要素を、状況補語と呼びます。

つまり、「por el」は、従属節の動詞pasaの、状況を説明している要素の可能性が高いということです。

2a+2b.el problema de baja natalidad por el que pasa el país

porを伴う他動詞pasar

pasarには自動詞と他動詞2つの用法があります。

まずは他動詞のpasarから見ていきましょう。

他動詞ということは前置詞なしの目的語が必要です。


2a+2b.el problema de baja natalidad por el que pasa el país


前置詞なしの名詞と言えば、従属節にはel paísがあります。

つまり、先程くっつけた「el país」が直接目的語になるということです。

そして、「por el」が状況補語ですから、本来の形にすると以下のようになります。


pasa el país por el.

pasa el país por el problema de baja natalidad.


この文が成立することを証明できれば、無事今日の記事も完結です。


みんな大好きコトバンクで調べてみましょう。

コトバンク
小学館 西和中辞典 第2版 より

pasar:他動詞

7 ⸨por… 〈場所〉に⸩ 〈手・布などを〉すべらせる;〈ページを〉めくる;〈書類などに〉目を通す.

11 ⸨por…⸩ ⸨〈場所〉を⸩ 通過させる;飲み込む;⸨…で⸩漉(こ)す.


pasa el país por el problema de baja natalidad.


辞書の意味をこの文にあてはめると、


その国を、少子化問題にすべらせる
その国を、少子化問題に通す


「その国を、少子化という問題の中にくぐらせる」という若干強引な解釈もできなくはないですが、どうですかね。

一旦保留にして、自動詞pasarについても見てみましょう。

porを伴う自動詞pasar

他動詞的用法で「これぞ!」と確信がもてなかったので、自動詞のpasar+porも調べてみます。


コトバンク
小学館 西和中辞典 第2版 より

pasar:自動詞
1.pasar por…:…を通る
9.pasar por…:…とみなされる
10.pasar por…:…を我慢する


話をわかりやすくするため、他動詞pasarの時と同じように文を本来の形に戻してみましょう。

自動詞なので、動詞の後ろに状況補語のpor elを移動して展開します。


el problema de baja natalidad por el que pasa el país

que pasa por el problema de baja natalidad el país.

(que 少子化問題という困難な問題を耐え忍んでいる el país)


なんか、こっちの方がしっくりきませんか?

山羊山は「10.pasar por…~を我慢する」の訳を推したいと思うのですが、いかがでしょうかみなさま!

el paísの正体とは

ここまでの内容を一旦整理しますと。


2a.el problema de baja natalidad por el que pasa
2b.el país
2c.se resuelva en un futuro cercano.


「2b」のel paísは「2a」の要素だった。つまり、


2a+2b.el problema de baja natalidad por el que pasa el país
2c.se resuelva en un futuro cercano.

↑こう。


そして、pasarは自動詞で、por el quepasarの状況補語である。

つまり、一文一動詞の原則に沿って文を分けると、


1.No creo que
2a+2b.que pasa por el problema de baja natalidad el país
2c.se resuelva en un futuro cercano.


こうなります。

そしていよいよ残った最後の問題は、「el paísは何者なのか?」です。


2a+2b.que pasa por el problema de baja natalidad el país


el paísは名詞です。

名詞がなれる役割は以下です。


NHK出版 これならわかるスペイン語文法
名詞句の働き より

a)主語
b)直接目的語
c)間接目的語
d)属詞
e)目的格補語
f)状況補語

消去法でいきます!

b)直接目的語→
pasarは自動詞なのでナシ

c)間接目的語→
間接目的語として使うなら前置詞「a」が必要。ゆえにナシ

d)属詞→
pasarは属詞を伴う動詞ではないのでナシ

e)目的格補語→
pasarを自動詞として扱うのでナシ

f)状況補語→
「その国で」という意味合いの「場所としての状況補語」として使うことも可能だが、その場合前置詞の「a」が必要。ゆえにナシ


残ったのは、そうです、el paísは主語だったのです。

主語の位置

んなこと言ったって、主語が一番後ろってどうなのよと思うのかもしれませんけれどもねみなさん。


2a+2b.que pasa por el problema de baja natalidad el país


スペイン語では「全然アリ」なんですね。


NHK出版 これならわかるスペイン語文法
主語や状況補語の位置 より

主語や、状況補語は、述語の前後どちらにも置くことができます。

 


「主語→述語→状況補語」はもちろん、
「述語→主語→状況補語」や、
「述語→状況補語→主語」も、
「状況補語→述語→主語」という順番だってアリということです。


スペイン語は、語順が自由だ!

めんどくせーなおい!

以上を踏まえまして

お疲れ様でした。
感動のフィナーレです。

ここまでの内容を踏まえまして、本日の例文を見てみましょう。

まず、動詞をおさえます。


No creo que el problema de baja natalidad por el que pasa el país se resuelva en un futuro cercano.


そして、1文1動詞の原則したがって、文を分けます。


1.No creo que
2.el problema de baja natalidad por el que pasa el país
3.se resuelva en un futuro cercano.


関係詞を元の形に戻したり展開します。わかりやすくするため、主語を前に持ってきたり。


1.No creo que
2.que el país pasa por el problema de baja natalidad
3.se resuelva en un futuro cercano.


それぞれの文を和訳します。直訳風にすると飲み込みやすかったりします。


1.No creo que:主文
(私は~と思わない)

2.que el país pasa por el problema de baja natalidad el país:複文の主語
(その国が耐え忍んでいる少子化問題)

3.se resuelva en un futuro cercano.:複文の述語+状況補語
(近い未来に解決される)


つまり、


No creo que el problema de baja natalidad por el que pasa el país se resuelva en un futuro cercano.

(私は思いません、その国が耐え忍んでいる出生率低下の問題が、近い将来解決されることを)


こういうこと!

お疲れ様でした!

うぇいよー!!

と、いうわけで。

4回に渡って長文読解シリーズにお付き合いいただきありがとうございました!

ここまでやっときながら間違いでしたとかだったらもう恥ずかしすぎて山羊山よゆうでしねますが。

間違いがあったらこっそりご指摘ください。記事消して逃亡しますので。


長文読解はスペイン語中級への入り口です。

長文を理解するためには、スペイン語文法、そして単語のしっかりとした基礎が必要だからです。

今日の記事で取り上げている例文にも、関係詞や自動詞他動詞の区別、代名動詞はもちろん、主語・述語・目的語などの文の要素、さらに基本となる名詞・動詞・副詞など品詞に関するゆうぞうむぞうの知識も必要になってきます。


山羊山も拙著で繰り返し述べておりますが、

外国語学習成功のカギは続けることなのです。

スペイン語の基礎は一朝一夕で身につく知識・スキルではありません。

しかしながら、特別な才能や頭脳が必要というわけでもありません。

続けていれば、誰でも必ず習得できるものなのです。

動詞が見つけられるようになった!

一文一動詞で文が分割できるようになった!

主節・従属節で分けて考えられるようになった!

など、日々の成長を楽しみながら、わたしく山羊山と一緒にスペイン語を続けていきましょう!

イヤですか?

そうですか!

わたしは悲しい!ですが以上、長文読解でスペイン語の世界は拡がってゆく!でした。


本日の参考図書

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