スペイン語の長文読解に挑戦⑨ 接続詞のqueと関係詞のque

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今日もひつこく長文読解やっていきましょー。

本日のテーマは接続詞のque関係詞のqueです。

何が違うの―って感じですが。

前々回でしたか、そのときの記事でも触れるチャンスはあったのですが、情報量が多くなりすぎたために解説を諦めたという経緯があります。

知らなくても「なんとなく」であれば日本語訳は可能だったりしますが、やはり知識としては持ちつつ、その知識を使う使わないという選択肢を持っていた方がよりスマートだと思いますので、今回取り上げることにしましたよ。


さて以下の文、接続詞のqueと関係詞のqueという視点を踏まえ、文構造の理解は余裕でできますですかねみなさま。

ぼくできない。


1.Nos extraña mucho que Sara y Javi no nos hayan avisado de su boda.
(サラとハビが結婚式のことを私達に知らせてくれなかったのはとても不思議だ)

2.No puedo perdonar lo que me ha dicho.
(彼が私に言ったことを許せない)

3.Yo no creo que lo haya dicho en serio.
(私は本気で言ったとは思わないな)


例文は 口が覚えるスペイン語 より

接続詞queと関係詞queの違い

文法上の役割の違いとしては以下です。


接続詞のque:文の名詞化
関係詞のque:形容詞節を導く


ぞれぞれ簡単に見ていきましょう。


接続詞のque:文の名詞化とは?


NHK出版 これならわかるスペイン語文法
接続法:名詞節 より

名詞節は、接続詞queを用いて作られます。

文中で名詞と同じ働きをする節を名詞節と呼びます。
名詞節は、文に接続詞queやsiを付けて作ります。

文の前にqueを置くと、後ろに置かれた文を名詞として扱えるようになるということですね。


関係詞のque:形容詞節を導くとは


NHK出版 これならわかるスペイン語文法
関係詞 より

ある文を、名詞を修飾できる形に変える働きをする語を関係詞と呼びます。
関係詞が使われている節を関係節と呼びますが、その働きから形容詞節と呼ぶこともできます。


関係詞は、名詞を修飾する形容詞的役割をもつ節を作ることができる、ということです。

節とは、「主語」「述語」など、文として成立させるための最低限の要素が揃っている文の単位のことです。

(スペイン語は少し特殊な言語で、主語が省略されることが多いので、主語がなくても節として扱うことができます)


接続詞のque→名詞節を作る
関係詞のque→形容詞節を作る


大まかに捉えると、↑のように考えることもできるわけですね。
以降、実際に例文を見ていきましょう。

例文その1を考える

1.Nos extraña mucho que Sara y Javi no nos hayan avisado de su boda.
(サラとハビが結婚式のことを私達に知らせてくれなかったのはとても不思議だ)


お馴染み「一文一動詞」の法則に従い、文を分割してみましょう。


A.Nos extraña mucho:主節
(それは私達にとても不思議に思わせる)

B.que Sara y Javi no nos hayan avisado de su boda.:従属節
(サラとハビが結婚式を知らせなかったこと)


さらに主節「A」の要素を細かく見てみましょう。


目的語:nos(私達)
述語:extraña(不思議に思わせる)
主語:それ(三人称単数の何か)


主節で登場していない要素は「主語」です。

なので従属節の「B」は主語と考えられます。

そして主語になれるのは「名詞」です。

名詞節を作るqueは、「接続詞のque」でしたね。

つまり、例文「1」のqueは、接続詞のqueと考える事ができるわけです。

例文その3を考える

続いて例文3を考えてみます。

何で例文1の次が例文2じゃなくって3なんだ!

と思うのかもしれませんけれどもねみなさん。

これが大人の事情ってやつです。


3.Yo no creo que lo haya dicho en serio.
(私は本気で言ったとは思わないな)


愚直に一文一動詞の法則に従い文を分けていきましょう。


A.Yo no creo:主節
(私は思わない)

B.que lo haya dicho en serio.:従属節
(それを本気で言った)


主節の要素を見てみましょう。

creoは他動詞なので目的語が必要ですね。


主語:Yo(私)
述語:no creo(思わない)
目的語:?


なので従属節「B」は目的語と考えられます。

目的語になれるのは名詞や名詞節です。

名詞節を作るqueは「接続詞のque」でしたね。

つまり、例文1に引き続き、例文3のqueも「接続詞のque」ということになります。

そんな事情で、例文1の次に例文3を持ってきたんですねー。

ということは、例文2は…?

例文その2を考える

例文1が接続詞のque

例文3も接続詞のque

ときたら。

意味ありげに後回しにした例文2のqueはなんでしょうか。


2.No puedo perdonar lo que me ha dicho.
(彼が私に言ったことを許せない)


答えがなとなくわかっていても、一文一動詞の法則で文を分割していきますよ!


A.No puedo perdonar:主節
(私は許すことができない)

B.lo que me ha dicho.
(それを私にそれが言った)


ここでのポイントはqueの前にある「lo」です。

以前の記事で、loには大きく分けて2つあると説明したのを覚えてますでしょうかみなさま。


中性定冠詞のlo

人称代名詞のlo


そして、「lo+que」の形で用いられるloは「中性定冠詞のlo」です。

この「lo+que」は、「~のこと」「~したこと」のように、文など名詞以外の要素を名詞化する役割があると、文法書では解説されています。

接続詞のque→名詞節を作る
lo+que→名詞化する

何がちゃうねん!

ってなりますよね。

なのでここではさらに一歩踏み込んで考えていきたいと思います。

lo+queを考える

2.No puedo perdonar lo que me ha dicho.

perdonarは他動詞です。


コトバンク
小学館 西和中辞典 第2版 より
perdonar:他動詞

1 〈落ち度を〉許す;

他動詞ということは、目的語が必要ということですね。

これを踏まえ、主節の要素を見てみましょう。


A.No puedo perdonar:主節
(私は許すことができない)


主語:私
述語:許すことができない(puedo perdonar)
目的語:?


ということで、主節には目的語が欠けています。

素直に考えると、従属節Bは、目的語ということになりそうです。

B.lo que me ha dicho.(従属節:主節の目的語)
(何かが)それを私に言った

しかしながら、この目的語は「接続詞のque」ではなく、「lo+que」です。

接続詞のqueとlo+queのわかりやすい違いは、「lo」が「que」の前に有るか無いかの違いです。

なぜわざわざloを置いているのでしょうか。

この疑問を解くために、loについてしっかり理解しておきましょう。

loは先に説明した通り、中性定冠詞のloです。

定冠詞ということは、何か名詞の頭についているということです。

スペイン語に中性名詞というものはありませんので、「男性名詞」「女性名詞」で表せない「ナニカ」を「中性定冠詞」で表現していると考えられます。

ではその「ナニカ」とは何でしょうか。

ここでもう一度「例文2」を見てみましょう。

2.No puedo perdonar lo que me ha dicho.
(彼が私に言ったことを許せない)

この文では、「私」が怒っています。

何に対して怒っているのでしょう。

そうです。彼の発言に怒っています。

つまり、「中性定冠詞lo」に当てはまる「ナニカ」とは、「彼の発言」もしくは「彼の言葉」に置き換える事ができますね。

まだまだ僕もお勉強中の身ゆえに正確なスペイン語か保証はできませんが、今回は「汚い言葉の数々」という意味合いで「palabras」を「ナニカ」置き換えて考えてみます。


2.No puedo perdonar lo (palabras) que me ha dicho.
彼が私に言ったこと(思慮のない言葉の数々)を許せない

このように、長文読解で頭パーンなった時は、定冠詞や代名詞などに置き換えられている要素を探り、補ってやると理解の助けになることがあります。

名詞を修飾しているということは、つまり形容詞

2.No puedo perdonar lo palabrasque me ha dicho.
私はそれ(思慮のない言葉の数々)を許せない、彼が私に言った。

この中性定冠詞のloは「思慮のない言葉の数々」という抽象的な単語の置き換えてあるということがわかりました。

そして、que以降が中性定冠詞の「lo」をさらに詳しく説明しています。

名詞を説明する=修飾です。

名詞を修飾しているということは、形容詞です。

つまり、例文2のqueは形容詞節を導く関係詞であるということがわかるわけですね。

つまり接続詞と関係詞の違いとは

接続詞:動作を名詞化する
関係詞:動作から生じる結果や状態を名詞化する

この違いわかりますでしょうか。

本日の例文で考えてみましょう。

まずは接続詞のqueから。

1.Nos extraña mucho que Sara y Javi no nos hayan avisado de su boda.
(サラとハビが結婚式のことを私達に知らせてくれなかったのはとても不思議だ)

接続詞のqueは「動作」や「行動」を名詞化します。

なので、「結婚式のことを知らせなかったという2人の行動は不思議だ」という日本語訳になります。

一方で関係詞はと言いますと。

2.No puedo perdonar lopalabras) que me ha dicho.
彼が私に言ったこと(思慮のない言葉の数々)を許せない

「彼が私に言った」という行動ではなく、「言った」という行動から生じた「思慮のない言葉」にフォーカスが当たっています。

つまり、「彼が私に向かって言った結果、口から出てきたあの言葉を許せない」となります。

「言った」という行動ではなく、あくまでも「言葉」が対象になるわけです。

どうでしょうか。

「接続詞のque」と「関係詞のque」の違い、見えてきましたでしょうか。

同じ要領で例文3も考えてみる

例文3もやっておきましょう。

3.Yo no creo que lo haya dicho en serio.
(私は本気で言ったとは思わないな)

queの後ろにloがあってちょっと引っ掛けっぽいですが、このloは単純に「haya dicho」の直接目的語になっている中性代名詞です。

なのでこの文のqueは接続詞です。

接続詞ということは、「動作」「行動」にフォーカスが当たりますから、

私は、(彼・彼女が)それ(lo)を本気で言うという行動をとった、とは思わないな

このような訳になります。ちょっと回りくどい訳ですが。

あくまでも行動にフォーカスを当てているというところを押さえておきましょう。

以上を踏まえまして

長いことお疲れ様でした。

以上を踏まえまして、本日の例文を見てみましょう。


1.Nos extraña mucho que Sara y Javi no nos hayan avisado de su boda.(主語)
(サラとハビが結婚式のことを私達に知らせてくれなかったのはとても不思議だ)

2.No puedo perdonar lo que me ha dicho.(形容詞節)
(彼が私に言ったことを許せない)

3.Yo no creo que lo haya dicho en serio.(目的語)
(私は本気でそれを言ったとは思わないな)


例文「1」と「3」のqueは接続詞で、「知らせなかった」「言った」という行動自体が主語や目的語といった文の要素になっています。

一方で例文「2」のqueは形容詞節を導く関係詞です。

形容詞節ということは、名詞を修飾しています。

つまり、あくまで主役は修飾している名詞です。

「言った」という行動ではなく、言った結果生じた「言葉達」が目的語として文の要素となっているわけなのですねー。


2.No puedo perdonar lo que me ha dicho.
彼が私に言ったそれを、私は許せない

2.No puedo perdonar las palabras (que me ha dicho
(彼が私に言った)思慮のない言葉の数々を、私は許せない


接続詞のque」と「関係詞のque」の違いについて、理解できましたでしょうかねみなさま。

うぇいよー!!

と、いうわけで。

文法書では「lo+queは名詞化してくれるよ」とワンセットで解説されることが多いです。

そのため「lo+que」をひとつの塊で考えてしまいがちです。

しかしながら、こうして振り返ってみると、この考え方がそもそも理解を難しくしてる要因のひとつだっのかなと思います。

実際に山羊山は「それを許せないんだよ、」と一旦区切って、そこから「、それが何かって言うとね…」といった具合に、loで一息入れて、その後にqueで説明を追加(修飾)している、という文構造で考えるようになって、ようやくこの構文が飲み込みやすくなりました。

もしlo+queに苦手意識がある場合は試して見て下さい。

接続詞や関係詞が読み解けるようになると、スペイン語が格段に楽しくなります。

スペイン語の本とかニュースが読めるようになるんですもの。素敵。

この楽しさを、ぜひ皆さんにも体感してもらいたいなあと山羊山は切実に思うわけなのですよ。

むつかしい書物はまだまだ読めませんが。

スペイン語長文読解、一緒に頑張りましょうね。

そんなわけで以上、今度こそ接続詞のqueと関係詞のque!みなさんもどうぞ!!でした。


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