たまに見かける「It is」で終わる文。
何となく誤魔化してきましたけど、そろそろ本気で攻略してみたいと思いますよさてみなさま以下の文。
it wasの意味、わかりますですかね。
ぼくわかんない。
Of course it helped that Zero dug some of his hole for him each day, but that wasn’t as great as everyone thought it was.
(もちろんそれは助けた、ゼロが一日一日彼の穴のいくらかを掘ること、しかしそれはみんなが考えるほど偉大ではなかった、それはあった???)
例文は、ルイス・サッカーさんのHolesより
文を分けます
いつもの長文読解でしたら一文一動詞でわけるのですが、
本日の例文では、とにかく意味不明なのは「it was」だけなので、コンマを使って分けましたよ。
1.Of course it helped that Zero dug some of his hole for him each day,
(もちろんそれは助けた、ゼロが一日一日彼のために彼の穴のいくらかを掘ること、)
2.but that wasn’t as great as everyone thought
(しかし、それはみんなが考えるほど偉大ではなかった)
3.it was.
(それはあった)
thinkが味噌
ここで第一の手がかりは、it wasの前にあるthoughtです。
thoughtはthinkの過去形。
なのでまずはthinkの辞書の意味を押さえておきます。
ジーニアス英和辞典 より
think 他動詞SVO
(人が)…を考える、心に抱くthink SV (that節)
(人が)…と考える、信じるthink 自動詞SVM
(人が)…を、…について
考える、思う、思考する
辞書の意味を大まかに把握すると、
A.他動詞SVO
B.SV+that節
C.自動詞SVM
この3つのパターンが有るようです。
自動詞SVMのthinkは消える
ここでパターンC「自動詞SVMのthink」は消します。
何でかと言うと、それは何でかって言いますと。
thinkの後ろに前置詞がないからです。
1.Of course it helped that Zero dug some of his hole for him each day,
(もちろんそれは助けた、ゼロが一日一日彼の穴のいくらかを掘ること、)
2.but that wasn’t as great as everyone thought
(しかし、それはみんなが考えるほど偉大ではなかった)
3.it was.
(それはあった)
自動詞thinkの意味は、「~を/~について考える」でしたね。
なので、考える対象(名詞)を続けるには、ofやaboutなどなんらか前置詞が必要になってきます。
それがないのですから、パターンCは消せるということです。
A.他動詞SVO
B.SV+that節C.自動詞SVM
itはthinkの目的語なのか
次に考えられるのが、「itがthinkの目的語である」というパターンです。
しかしそうすると、wasが余ってしまいます。
2.but that wasn’t as great as everyone thought it
(しかし、それはみんながそれを考えるほど偉大ではなかった)
3.was.
(~はあった)
この文を成立させるためには、「2」の文がまるごと主語になる必要があります。
が。
そうすっと、
(しかし、みんながそれを考えるほど偉大ではなかったことがあった)
このように珍妙な意味になってしまいます。
SVOのthinkも、なんか違うくなぁい?
となってくるわけです。
のこるはSV+that節のthink
thinkと言へば。
think + that~
(~ということを考える)
という構文が浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
しかしながら、
「でもthatないじゃん」
と考える人もいるでしょう。
ご安心下さい。
表現のためのロイヤル英文法
その他の文法上の省略 より
接続詞thatの省略
thinkなどの目的語になる名詞節
thinkの目的語を導くthatは、省略されることがあります。
thatを補って考えてみますと、
2+3.but that wasn’t as great as everyone thought (that) it was
(しかし、それはみんながそれはあったということを考えるほど偉大ではなかった)
まだ意味は通じてきませんが、続いて指示代名詞「it」について考えていきたいと思います。
指示詞は長文読解において重要なポイント
英語に限らずですが、「指示詞」を読み解くことは読解においてとても重要なポイントです。
指示詞とは、「それ」「あれ」「これ」など、対象物を指し示す言葉です。
2+3.but that wasn’t as great as everyone thought (that) it was
(しかし、それはみんながそれはあったということを考えるほど偉大ではなかった)
本日の例文における、「それ」とは何でしょうか。
指示詞が指し示す対象物は、すでに一度登場していることがほとんどです。
情報が少し足りないので、一旦ここで文の前後関係を確認しておきます。
文の前後関係
乾いた湖にひたすら穴を掘らされる更生プログラム。
穴掘りが得意ではないスタンレイは読み書きを教える代わりに、
ゼロくんに穴掘りを手伝ってもらう取引をします。
他のみんなはそれはズルだと言うけれど。
手伝ってもらってる間は手持ち無沙汰でなんとも居場所がない。
穴掘りするよりはマシだけど、言うほどいいもんじゃないや。
と、そんな件りでございます。
it の正体
2+3.but that wasn’t as great as everyone thought (that) it was
(しかし、それはみんながそれはあったということを考えるほど偉大ではなかった)
as great as ~で比較しているのは何でしょうか。
それは、
手伝ってもらうことによる実際の快適さ
と、
みんなが考える快適さ
ですね。
つまり、itは、「穴掘りを手伝ってもらうこと」と考えることができるわけです。
great(素晴らしい)
とか
comfortable(快適な)
とかを補ってやるとよりわかりやすいかもしんないですね。
everyone thought that it was great comfortable
(みんなは、穴掘りを手伝ってもらうことは、素晴らしく快適だと考えた)
but that wasn’t great comfortable
(しかし、それは素晴らしく快適ではなかった)
こんな感じで、「楽さ」「快適さ」の対比が見えてくるわけです。
以上を踏まえまして。
本日の例文を見てみましょう。
Of course it helped that Zero dug some of his hole for him each day, but that wasn’t as great as everyone thought it was.
(もちろんそれは助けた、ゼロが一日一日彼の穴のいくらかを掘ること、しかしそれはみんなが考えるほど偉大ではなかった、それはあった???)
このthoughtは、「SV+that型」のthinkでしたね。
省略されているthatを補ってみましょう。
Of course it helped that Zero dug some of his hole for him each day, but that wasn’t as great as everyone thought that it was.
(もちろんそれは助けた、ゼロが一日一日彼の穴のいくらかを掘ること、しかしそれはみんなが考えるほど偉大ではなかった、それはあった???)
that it wasは、thoughtの目的語。
以上を踏まえて訳してみますれば、
Of course it helped that Zero dug some of his hole for him each day, but that wasn’t as great as everyone thought that it was(great).
(もちろん、ゼロくんが日々彼の穴堀りの一部を手伝うことは助けになったけれど、みんなが考えるほどいいことばかりでもなかった)
こんな解釈でいかがでしょうかみなさま!
答え合わせ。
それでは幸田さんの日本語訳と答え合わせをしてみましょう。
幸田敦子さん訳:穴 より
もちろん、ゼロに穴掘りを手伝ってもらって少しは楽だ。が、みんなが思うほどではない。
↓みんなが考えていること
「穴掘り手伝ってもらって、さぞ快適でしょうね」
しかしながら実際は↓
「そうでもないんだよね」
こんなニュアンスを読み取れていれば、良いんじゃないでしょうか!
ウェイヨー!!
と、いうわけで。
唐突な「It is」に遭遇したら。
thatが隠れていないかな?
何かの目的語かな?
itは何を指しているかな?
みたいな感じで考えを巡らせてみれば、意外と突破口が開けるんじゃねえかって思いましたよ!
それではまた、世界の何処かで会いましょう!
さいなら!
◆本日の参考図書
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