僕はTo不定詞が苦手です。
なぜならばようわからん使い方がたくさんあるからです。
きっとみなさまの中にも、To不定詞を苦手としている人もいることでしょう。
僕が苦手なんだから、みんなも同じじゃなきゃイヤだ!やだやだ!
そんなわけでみなさま以下の文。
To不定詞、wouldを踏まえて適切な和訳を付けれれますですかねみなさま。
ぼくできない。
On more than one occasion, she would start to read a poem by Poe or Longfellow, only to hear him finish it for her, from memory.
(一回以上の場面において、彼女はポーやロングフェローによる詩を読み始めたものだ、ただ彼がそれを終えるのを聞くことが彼女のため、記憶から???)
例文は、ルイス・サッカーさんのHolesより
基本は一文一動詞
いつもだったら必殺・一文一動詞で文を分解するところですが、本日の例文は文構造自体はそれほど複雑ではないので、カンマんとこで区切って考えることにしましょうか。
1.On more than one occasion,
(一度以上の場面において、)
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローによる詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、)
4.from memory.
(記憶から)
wouldのおさらい
僕がwouldを苦手としているという事情もありますんで、おさらいしときます。
1.On more than one occasion,
(一度以上の場面において、)
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたものだ、)
wouldには、
・過去の意思・習慣
・仮定・推測
・丁寧な依頼
この3つの用法があるのでしたね。
ここでのポイントは、「1」の文で頻度が述べられていることです。
1.On more than one occasion,
(一度以上の場面において、)
なので、それに続く「2」の文のwouldは、「過去の習慣」と考えるのが自然です。
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたものだ、)
知覚動詞おさらい
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、)
動詞hearの後ろに、目的格代名詞のhim、さらにその後ろに原形動詞のfinishが続いています。
これは知覚動詞です。
「him」と目的格になっておりますが、finishという動作を行う意味上の主語となります。
✘彼を 終わらせる
◎彼が 終わらせる
なんでそうなったのかまでは尻ませんが、そういうもんだそうです。
表現のためのロイヤル英文法
原形不定詞の用法 知覚動詞の後で より
see,hear, feel, etc…+ 目的語 + 原形不定詞
Aが~するのを見る、聞く、感じる、などの意味を表す
本日の例文はこの知覚動詞がto不定詞の形になっておりますね。
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、)
To不定詞の副詞的用法おさらい
To不定詞の副詞的用法をおさらいしときましょう。
表現のためのロイヤル英文法
P133 To不定詞の副詞的用法 動詞修飾 より
目的 ~するために
結果 ~した結果
感情の原因 ~して
判断の根拠 ~するとは
条件 もし~すれば
となると、「3」のto hearがいずれの用法に当てはまるかという話になってくるわけでございますね。
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、???)
実際に、それぞれの用法を当てはめてみますか?
A.目的「~するために」のTo不定詞
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、)
まあまあ、ありですかね。
B.「~した結果」のTo不定詞
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(その結果、彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くだけだった)
詩を読み始めた結果、彼が彼女の詩を言い終えるのを聞くことになった。
という意味が成立するので、この用法もありっちゃありですかね。
C.感情の原因「~して」のTo不定詞
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことによって、)
そもそも、嬉しい、悲しいなどの「感情がどうなった」という記述がないので、これは当てはまらなそうです。
D.判断の根拠「~するとは」のTo不定詞
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたのだろう、)
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くとは、)
彼が彼女のためにそれを終わらせたのを聞くってことは、
彼女が詩を読むことを始めたのだろう。
「3」を判断の材料にして、「2」の推測を成立させています。
wouldを習慣じゃなくて推測に解釈すれば、この用法も成立しそうです。
E.条件「もし~すれば」のTo不定詞
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(もし彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことさえすれば、)
もし彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことさえすれば、彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたものだ。
「3」の条件を満たせば、「2」が発動する。
なんかギリギリ成立しなくもなさそうな感じですが。
一応このセンも残して次のステップに進んでみましょう。
itは何をさしているか
本日の例文を読み解くためには、itが何を指しているのかをはっきりさせた方が理解しやすそうです。
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローによる詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、)
文の前後関係
判断材料を補強するため、文の前段階を確認します。
登場人物は町で唯一の学校の先生キャサリンと、
玉ねぎ売りのサムくん。
教養高く詩を嗜むサムくんに驚くキャサリン先生。
休憩中のサムくんに、詩を読んで聞かせてあげたりしました。
と、そんな件りでございます。
itが意味するものは
文の前段階も踏まえて考えますと、itは「キャサリン先生が読み始めた詩」であると考えるのが自然ではないでしょうか。
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(彼女はポーやロングフェローによる詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(彼が彼女のために詩を読むことを終わらせるのを聞くことのためだけに、)
それ=読み始めた詩
キャサリン先生が「そもさん!」と詩を読み始めて、
サムくんが「せっぱ!」で終わらせる。
そんな掛け合いのような光景が浮かんでくるのではないでしょうか。
1の目的か、2の結果か、4の判断の根拠か、5の条件か
itが指し示すのは、キャサリン先生が読み始めた詩のことでしたね。
それを踏まえて考えますと、
1.目的のto不定詞の場合
(キャサリン先生は、ポーやロングフェローによる詩を読むことを始めたものだ、サムが彼女のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、)
2.結果のto不定詞の場合
彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたもので、その結果、彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くだけだった)
4.判断の根拠のto不定詞の場合
(ただ彼が彼女のためにそれを終えるのを聞くだけということは、彼女はポーやロングフェローの詩を読むことを始めたのだろう)
5.条件のto不定詞の場合
(もしサムがキャサリン先生のためにそれを終えるのを聞くことさえすれば、彼女はポーやロングフェローによる詩を読むことを始めたものだ、)
5つの用法のうち、4つに絞れました。
正直、あんま絞れてないけど!わはは!
ここから頑張ってさらに絞っていきましょう。
only to
ここで、「2.結果のto不定詞」に、ひとつポイントがありました。
それは、「only to」です。
3.only to hear him finish it for her,
表現のためのロイヤル英文法
To不定詞の用法 (2)結果 より
目的と結果はいわばある面の表裏のようなもので、主語の意図があれば目的としてしめされるが、過去のことに関して、主語の考えていなかったことが起きたような場合は結果として示される
<only to ~>は、意外や残念な結果を表すのに用いられることが多い。
ここまではonlyに「ただ」とか「だけ」といった訳を当てはめておりましたが。
正直、違和感があったんですよね。
しかしながら、この解説を読んで腑に落ちた感じがします。
話の前段階で、玉ねぎ売りのサムくんが詩に興味があって、嗜んでいることにキャサリン先生が驚いた。
そんな件りがありましたね。
キャサリン先生が感じたこの意外さや驚きを、only toで表現している。
そう考えれば、文の全体像が見えてくるような気がしませんでしょうかみなさま。
以上を踏まえまして。
本日の例文を完成させてみましょう。
1.On more than one occasion,
(一度以上の場面において、)
2.she would start to read a poem by Poe or Longfellow,
(キャサリン先生はポーやロングフェローによる詩を読むことを始めたものだ、)
3.only to hear him finish it for her,
(サムがキャサリン先生のためにそれを終えるのを聞くことのためだけに、)
4.from memory.
(記憶から)
サムが詩を嗜むことに驚くキャサリン先生。
意外性を示すonly toの用法。
これらを踏まえると、「3」の文は「結果を表すto不定詞」であると考えることができます。
結果を表すto不定詞で本日の例文を訳してみますと、
↓
On more than one occasion, she would start to read a poem by Poe or Longfellow, only to hear him finish it for her, from memory.
(キャサリン先生がポーやロングフェローの詩を読み始めると、意外なことにサムが続きを諳んじるという結果になることが一度以上の場面において繰り返しあった)
こんな解釈でいかがでしょうかみなさま!
答え合わせ。
それでは幸田さんの日本語訳と答え合わせをしてみましょう。
幸田敦子さん訳:穴 より
ポーやロングフェローの詩を朗唱すると、サムが引き取り、暗証する、そんなことも何度かあった
wouldは過去の習慣で、
only to hearは目的の副詞的用法
ってところが押さえられていれば、今日のところはよしとしましょうか。
ウェイヨー!!
と、いうわけで。
分解した部分部分はそれぞれ何となく理解できるけど、
いざ一文に繋げようとすると、今日のように部分部分をこねくり回してみないと全体の意味が見えてこないというパターンも長文読解にはあるんですねえ。
精進しますー。
以上、意外な結果のonly to不定詞と、過去の習慣のwould!!でした。
◆本日の参考図書
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