ルイス・サッカーさんのHolesを読んでいると、wouldの使用頻度の高さに気が付きます。
用途の幅が広く、ネイティブにとっては恐らく使い勝手のよい単語なのでしょう。
ところがどっこい。
私たち英語初学者にとって、用法を絞りきれなかったりするため、この「幅広い用途」というのはこの上なく厄介なことこの上ないわけです。
厄介なうえに使用頻度の高いwould。
逃げるとやつは追いかけてきます。
であれば。
逃げ続けるのはもうやめて、僕と一緒にwouldに立ち向かっていこうではありませんかさてみなさま以下の文。
wouldを踏まえて適切な和訳を付けれれますですかねみなさま。
ぼくできない。
If he didn’t talk about it, maybe it would go away.
(もし彼がそれについて話さなければ、多分それは大した問題ではなくなるだろう???)
例文は、ルイス・サッカーさんのHolesより
wouldのおさらい
wouldはwillの過去形。
willには「予測」「思考」というコアイメージがあります。
そして、過去形には「現在からの距離」「現実からの距離」「相手との距離」という基本機能があったのですね。
そのコアイメージや基本機能から、
1.過去の意思・習慣
2.現在における推測・仮定
3.丁寧な依頼
といった用法に展開してゆくわけです。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
wouldの時制を考える
wouldの時制を考えてみますと、
1.過去の意思・習慣(過去)
2.現在における推測・仮定(現在)
3.丁寧な依頼(現在)
このように、用法によって過去だったり現在だったりします。
そのため、「would」という単語を見ただけでは、時制を絞ることができません。
つまり、wouldの用法や時制は、「文脈で判断する」必要があるということなのです。
wouldの時制をひとつずらす
もういちどwouldの時制を見てみます。
1.過去の意思・習慣(過去)
2.現在における推測・仮定(現在)
3.丁寧な依頼(現在)
であれば。
たとえば、「2」は、現在における推測・仮定です。
これ、「過去における推測・仮定」を表現したい場合はどうすればよいのでしょうか。
過去完了の出番
そうです。
過去における推測・仮定を表現したい場合は、過去完了形を使えばいいのでしたね。
Would+have+過去分詞 仮定法過去完了形の使い方って知ってます?僕しらない。 より
過去完了形は、過去よりもさらに過去、いわゆる「大過去」を表現することができます。
しかしながら、前述した通り大過去を含め、「過去形」は単に過去時制を示すだけではありません。
1.過去から見た過去の意思・習慣
2.過去における推測・仮定
これらを表現することができます。
仮定法過去の時制を、一個昔にずらしたイメージですかね。
以上を踏まえまして。
本日の例文を見てみましょう。
If he didn’t talk about it, maybe it would go away.
(もし彼がそれについて話さなければ、多分それは大した問題ではなくなるだろう???)
Holesは、過去を振り返る回想叙述です。
つまり、時制は過去。
動詞も基本的に過去形となります。
時制が過去ですから、その時点の推測や仮定は、過去完了形となります。
しかしながら、ここでのwouldは過去完了形ではなく、過去形です。
If he didn’t talk about it, maybe it would go away.
Ifもあるし、maybeもあるし、「2」の仮定法だと考えるのが自然のような気もしますが…
1.過去の過去の意思・習慣
2.過去における推測・仮定
3.丁寧な依頼
実はこれもまた、wouldの持つややこしい性質が悪さ?していたのですよ。
過去完了は、過去で代用可能
過去の過去(過去の推測・仮定)だからと言って、必ずしも過去完了形にしなくてもいいようでして。
表現英文法GFE
P27 過去のある時より前の動作・出来事(大過去) より
文脈から2つの出来事の前後関係がわかる場合には過去形で代用することが多い
wouldもできとーなんだな。
文の前後関係
本日の例文では「それ」ばっかりで話が見え難いと思うので、文の前段階を補足しておきますね。
ここは更生施設のグリーンレイクキャンプ。
先日職員のミスターサ―と揉めてしまったスタンレイ。
どんな報復が待っているか気が気ではありません。
その様子を察した他の少年たちがスタンレイに事情を尋ねてきますが、
答えずにいれば、あの揉め事もなかった事にできるかなー、なーんて。
そんな気がした。
といった件りでございます。
以上を踏まえまして(再)
本日の例文を再び見てみます。
If he didn’t talk about it, maybe it would go away.
(もし彼がそれについて話さなければ、多分それは大した問題ではなくなるだろう???)
Ifやmaybeからわかるように、仮定法です。
時制は過去ですから、本来であれば、
過去における仮定→仮定法過去完了
とすべきところですが、文脈から明らかな場合は、わざわざ仮定法過去完了にせず、仮定法過去で代用することができます。
If he didn’t talk about it, maybe it would go away.
(もし彼がそれについて話さなければ、多分それは大した問題ではなくなるだろう)
ウェーイ。
答え合わせ。
それでは幸田さんの日本語訳と答え合わせをしてみましょう。
幸田敦子さん訳:穴 より
だまっていれば、なにごともなく、無事に過ぎるかもしれない
なにごともなくすぎていく、「かも」
仮定法過去完了ではないけれど、文脈から過去の仮定や推測であると読み取れていれば、よいのではないしょうか。
ウェイヨー!!
と、いうわけで。
以上、仮定法過去完了は、仮定法過去で代用可能!でした。
◆本日の参考図書
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