AIジェネレーターの進化が止まりませんが。
エロいは可愛いはで性格も良さそうでも手がちょっと変、な女の子が日々量産されております。
男子はあんまし見かけませんが。
絵師というのはご飯と布団とお風呂とコーヒーを用意してあげないと動かなくなってしまうだじゃくな生き物です。
翻ってAIは、電気さえ供給されればほぼ無限に絵を生成できてしまいますから、比較して生産効率の低い絵師さん達はその仕事を全てAIに奪われてるという空調で世間の空気は充満しています。
この状況に対して何も策を講じなければ、絵描きにとって、夢も希望もない未来が待っていることでしょう。
本日は、そんな絵描きとAI技師にとっての未来を、絵描きのはしくれとして考えてみたいと思いますよ。
問題は絵師の利益
この問題の根っこは、「絵師の利益が阻害されている」という1点であると考えています。
現状では、作成者の預かり知らぬところで、彼らの絵がAI学習に使われ、時間とエネルギーを費やして身につけてきた知識や技術に対して、なんの利益も対価も還元されずに消費されています。
これでは、文句を言いたくなるのも当然です。
今までも、時代の流れとともに淘汰されてきた職業や技術はたくさんありました。
これも時代だよー絵描きもそんな廃れていくレガシーのひとつだよー
なんてな意見もたまにみかけますが、市場が変化することと、作家さんの権利が蔑ろにされている問題は、これまた別の話なわけです。
先程も述べさしてもらいましたが、この問題の根っこは作家さんに利益が還元されていないという点です。
つまり、自分の絵がどこでどのように使われているかを把握でき、使用状況に見合った対価を受け取れる。
そんな仕組みを実現できれば、きっと状況は今よりも30倍は良くなっていくことでしょう。
そのためには、
1.デジタル作品の管理(NFT)
2.AI生成ツールの管理
3.法整備
が必要になります。
ひとつずつ見ていきましょう。
NFTとは
NFTとは、「Non(非)Fungible(代替)Token(識別子)」の略です。
大雑把にいうと、「世界でひとつしかない唯一無二のID」と捉えてよいかと思います。
このNFT技術を取り入れると、絵でも動画でも音声でも、デジタルデータにIDを振ることができます。
デジタルデータはコピーが簡単にできてしまいますが、コピーデータが10個とか100個とかあっても、そんな中でも「オリジナルのデータ」にIDをつけ、オリジナルのデータを「オリジナルである」と証明することができるわけですね。
NFT登録時には、作家さん側でいくつかの項目を設定してもらうとよりスマートな仕組みになるでしょう。
・権利レベル
・流通上限数
・値段
など。
例えば上記のような項目を設定しておくと、AI生成社会にとりあえず対応できる道筋がつくんじゃねえかなって思います。
AI生成ツールの管理
NFTでオリジナルデータの証明を担保することができました。
しかしながら、それだけでは作家さんの利益を守るには不十分です。
ツール側が「NFT?んなモン知らねーよ」状態では宝の持ちグソだからです。
なのでAI生成ツール側にも仕組みが必要です。
ここではその仕組について考えてみましょう。
AI生成ツールは、既存の作品を読み込ませ、その作品のテイストで新たな作品を生み出すいわゆる「AI学習」をさせることができます。
現状では、このAI学習が無法状態です。
なのでこのAI学習に使用する作品に対して、権利を守る必要があると考えます。
そうしないと作家さんの作品がタダ乗りされまくってしまうからです。
ではどうやって作家さんの利益を守るのか。
ここで先程のNFTの出番です。
作家さんの作品には、NFTで唯一無二のIDが割り振られています。
なのでそのIDをNFTで追跡すれば、AI学習時に読み込まれた作品が「本物」であることや、上で設定した「権利レベル」「値段」といった作品情報を取得することができます。
「コピー品」など非正規なデータだった場合はAI生成ツールでブロックされ、学習させることはできません。
作品が「本物」で、且つ権利レベルが「AI学習可能」の設定になっていて、さらに設定額を支払うことによってのみ学習させることができます。
支払いは学習時の1回だけではなく、学習データを使用して生成する都度発生します。
カラオケのように、1曲歌われるごとに印税が発生するのと同じイメージですね。
AI学習に2枚の画像を使うと、それぞれの作家さんに支払う必要があります。
AI生成された画像にもNFTが割り振られます。
なので、AI生成された画像を、誰か他の人がAI学習に使い際にも、支払いが発生します。
つまり、AI生成子画像、AI生成孫画像、AI生成曾孫画像…というように、生成画像が何世代にも渡ったとしても、一度でもAI学習に使用されていれば、作家さんには報酬が発生するというわけですね。
もちろん作家さんによっては「自由に使っていいよ!AI学習でもトレスでもなんでも好きにしなよ!」なんて権利レベルを設定することもできますよ。
AI生成ツールを使用するユーザーは登録制で、クレジットカード等支払い情報の設定が必須です。
支払い情報がないとツールを使うことはできないようにしておけば、ユーザーからとりっぱぐれることもありませんし、ツール開発者はマージンをとって利益を得てもよいでしょう。
・NFT追跡機能
・支払い機能
最低限この辺の機能が生成ツールに実装されていれば、何とかなるんじゃねえかなって思いますよ。
法整備
そして罰則が何もなければせっかくの仕組みも成り立ちません。
やはりここは法整備と罰則が必要になってきます。
DVDなどの動画コンテンツもコピーガードを解除すると違法になりますが、あのイメージでよいかと思います。
罰則は、「NFT追跡を阻害するようなツールを作成したり改変したりした場合に適用」とかでいいですかね。
Adobeも妥当な対応
みんな大好きAdobeさんもこの問題には神経を尖らせているようでして。
法整備が追いついていない現状ですが、妥当と思われる線引きをしています。
一方、Fireflyでは学習データとして以下の3点を挙げています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamaguchikenta/20230322-00342328
・Adobe Stockの画像
・オープンライセンスコンテンツ
・著作権が切れたパブリックドメインコンテンツ
Adobe Stockはアドビが運営するストック素材サービスで、数億点の写真や画像などを販売しています。ライセンスにもよりますが、ここで購入した画像は商用利用が可能です。
山口健太さん
アドビの画像生成AI「Firefly」 権利関係は大丈夫? より
著作権フリーか、自分のとこで権利をもっているコンテンツのみAI学習に使っているそうです。
まさしくThe・妥当な対応だと思います!
印象がよいですね。
クリスタさんもピリピリ
山羊山も使っているお絵かきソフト「クリップスタジオ」も慎重です。
漫画制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」(クリスタ)が試験的にAI機能を導入すると発表したが、ユーザーからの反発を受けて、秒で撤回、AI導入の中止を発表したという。
プラスデジタルさん
クリスタに画像生成AI機能→秒で撤回、AIが働けどなおわが暮らし楽にならざり より
https://news.mynavi.jp/article/jiryu_hyoryu-227/
やっぱり作家さんあってのペイントソフトですからね。
と、いうわけで
AI生成自体はとても可能性のある技術ですし、山羊山も有効に活用して、背景とか省エネしながら漫画を成立させようと目論んでおります。
ただ、「私達がラクできる」ということは、「誰かが苦労してその道を斬り拓いてくれたお陰様」という事実を忘れてはいけないかなって思います。
苦労してその道を整えてくれた先進の方々に対して、敬意と対価を払う、そんな社会にしていけたらいいなって、切実に思ったわけなのでありますよ。
AI技師のみなさま、そして作家さんを支える消費者のみなさまには、是非ともご理解とご協力をおねがいいたしますねー。
そんなわけで以上、絵描きとAI技師の未来!でした。
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