Not whenって、なに?Notが否定する範囲についてもう一度考えてみよう。

英語
この記事は約7分で読めます。
当記事の内容には、広告を含みますよ
外国語の筋肉: いちばん最初に読む外国語の本
英語を始め、多くの人が外国語に興味を持ち学習を始めます。 しかしながら、途中で挫折してしまう人も少なくありません。 なぜ多くの人が外国語の習得に失敗してしまうのか。 その答えは、「外国語の筋肉」にあったのです。 何から始めたらいいかわからない 勉強してるのに話せるようにならない 過去に挫折したことがある 多くの人...

先日、カンボジア政府に没収されそうになったドル預金を奪い返しにプノンペンまで行って参りました。

その旅行記の途中ですがお構いなしに英語長文読解の記事をねじ込んで行きますよさてみなさま以下の文。

Notが何を否定しているのかを含め、適切な和訳をつけれれますですかねみなさま。

ぼくできない。

It didn’t seem likely. Not when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。ひとつの湖全体が干上がった時ではなかった???)

例文は、ルイス・サッカーさんのHolesより

普通に考えたら、「~の時ではない」

英文をそのまま訳せば、Not when~は、「~の時ではない」となります。

when an entire lake had gone dry.
(ひとつの湖全体が干上がった時)

Notで否定

Not when an entire lake had gone dry.
(ひとつの湖全体が干上がった時ではない

つまり、

It didn’t seem likely. Not when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。ひとつの湖全体が干上がった時を除いて???)

このように、「その時ではない→その場合を除き」という解釈ができるというわけです。

しかしながら、文脈で考えますと、この解釈だとちと話が通じなくなってくるのです。

 

文の前後関係

ちと長いですが、文の前段階を確認してみます。

更生施設の管理官をぶん殴って逃走したゼロくん。

ゼロくんの後を追うかどうかで迷うスタンレイ。

逃げた所で、辺り一帯は乾燥地帯。

水もなく、生き延びられる可能性はかなり低い。

しかしながら、スタンレイの視界には、親指を突き立てた形に見える大きな岩山が西の遠方に見えます。

そこには豊富な水が蓄えられている。らしい。

その話が本当なら、ここから逃げ出しても生き延びられる可能性は高くなる。

昨日、西の空には雨雲を見た。

その雨水を、あの岩山が蓄えてくれていれば…

しかし、そのようには思えなかった。

と、そんな行りでございます。

「水が蓄えられていれば」

と一縷の期待を持ちますが、「いや、そうは思えない」と即座に否定。

その否定が、「It didn’t seem likely」に繋がっているという流れです。

It didn’t seem likely. Not when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。ひとつの湖全体が干上がった時を除いて???)

 

文が繋がらない

It didn’t seem likely

は、

水が蓄えられているようには見えなかった

という意味でした。

なぜならば、あたり一面はカサカサの乾燥地帯。

こんな乾燥地帯なのですから、「水なんてない」と考えるのは自然です。

言い方を変えると、「湖が干上がってるんだから、岩山にも水が蓄えられてるとは考えられない」となります。

一方で先ほどの解釈を見てみますと、

It didn’t seem likely. Not when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。ひとつの湖全体が干上がった時を除いて???)

「湖が干上がった場合を除き、水が蓄えられてると考えない」

となっています。

もう少しシンプルに言いますと、

「湖に水があれば、岩山に水が蓄えられていない」

となります。

これ、逆ですよね。

「湖に水があるのなら、岩山にも水が蓄えられている」

と考えるのが自然です。

でも、Not whenをそのまま解釈すると、意味が逆になり、文が繋がらなくなります。

つまり、Not whenに何かカラクリがあると、

そのように考える必要がありそうです。

味噌は、「否定の省略文」

Notを見ると、つい「近くのものを否定している」と考えてしまいがちです。

基本はそれでもいいのですが、それで意味が通じなかった場合。

省略文のNotを考える必要があります。

 

否定の省略文とは。

越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文
3.否定 より

要は、前文の主語・動詞をはじめとする内容を繰り返すのがくどいから、必要最小限の話だけを残し省略するわけです。

越前敏弥さんは、「前文の主語と動詞が省略されている」と言っています。

Not when an entire lake had gone dry.

は、前文の主語と動詞、

It didn’t seem likely.

つまり、Itとdid seemが省略されていると説明しています。

省略されている部分を再現してみましょう。

It didn’t seem likely. It did Not seem likely when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。湖全体が干上がった場合にそれはそのようには見えなかった)

確かに、くどいですね。

このくどさを避けるために、重複部分に省略が発生していたと。

つまり、Notはwhenの否定していたわけではなかったのですねー。

 

以上を踏まえまして。

本日の例文を見てみましょう。

It didn’t seem likely. Not when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。ひとつの湖全体が干上がった時ではなかった???)

Notは、whenの否定ではなく、

前文の要素が省略されているのでしたね。

It didn’t seem likely. It did Not seem likely when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。湖全体が干上がった場合にそれはそのようには見えなかった)

これだとクドいので、Notだけ残して前文の否定のニュアンスを残しつつ、

when以下で状況を補足しているのですねー。

それを踏まえて解釈しますならば。

It didn’t seem likely. Not when an entire lake had gone dry.
(それはそのようには見えなかった。そう見えなかったのは、湖全体が干上がっていたからだ)

こんな解釈でいかがでしょうかみなさま!!

 

答え合わせ。

それでは幸田さんがどう和訳したのか、答え合わせをしてみましょう。

幸田敦子さん訳:穴 より

いや、あるとはとても思えなかった。湖が干上がっているのに、そこだけ水があるわけない。

Not whenを適切に扱えていれば、

湖が干上がっている

水があると思えない

このように、矛盾のない解釈ができるということですね。

ウェイヨー!!

と、いうわけで。

何となく近くにあるものの否定に使ってたNotですが。

実は色んなものが省略されていたりするのですねー。

またひとつ賢くなりましたー。

この調子で明日も賢くなりましょー。

さいならー。

◆本日の参考図書

コメント

タイトルとURLをコピーしました