僕はEvenが苦手です。
だって「~でさえ」を当てはめても、なんやよう意味が通じんことが多いんだもん。
そうして逃げ続けてきたEven。
しかしながら、逃げればEvenは余計に追いかけてきます。
お前は近所のばあさんが飼っている秋田犬なのか。
そんなわけでここらでひとつ、Evenを徹底攻略してやろうと思いましたよさてみなさま以下の文。
Evenを踏まえて適切な和訳を付けれれますですかねみなさま。
ぼくできない。
He didn’t even know how Zero knew there were twenty-six in the first place.
(彼は知ることさえしなかったどのようにゼロが26あるって知ったのかそもそも???)
例文は、ルイス・サッカーさんのHolesより
辞書的evenの意味
まずは辞書に載ってるevenの意味を把握しときましょう。
ジーニアス英和辞典 より
even 副詞
~でさえ
さらに
それどころかeven 形容詞
平らな
同じ高さの
ムラのない
釣り合いの取れたeven 名詞
互角even 他動詞
平らにする
均一にする
精算する
今回のevenは動詞knowの直前に置かれているので、副詞のevenと考えるのが自然でしょう。
He didn’t even know how Zero knew there were twenty-six in the first place.
(彼は知ってさえなかった、どのようにゼロが26あるって知ったのかそもそも???)
evenのコアイメージ
コアイメージと言へば、大西泰斗さんです。
大西泰斗さん
英単語イメージハンドブック より
「こんなにも」「こんなにも少ししか、ないんだぞ」と線引きをするのが、このeven。
極端な線を引いて相手にショックを与えることもしばしば。
辞書とコアイメージの融合
辞書から得た「均等」「バランス」という意味と、
大西さんがくれた「線引きをする」というコアイメージを融合させて、
「基準を移動しても、均等になる(成立する)」という僕なりの解釈をしました。
後ほど解説するので頭の片隅に置いといてくださいませ。
evenの位置
副詞evenは、主語以外を修飾する場合は動詞の前、助動詞がある場合は助動詞と動詞の間になります。
一億人の英文法
動詞の前に置かれる副詞の位置 より
【助動詞】助動詞 + 副詞 + 動詞~
助動詞を含んだ文では、副詞は助動詞の後ろが定位置。
本日の例文も、助動詞didn’tと動詞knowの間にevenが置かれています。
He didn’t even know how Zero knew there were twenty-six in the first place.
つまりこれは、直前に置かれているからと言って、evenがknowにかかっているというわけではないのでご注意ということですね。
✘彼は知ってさえなかった、どのようにゼロが26あるって知ったのかそもそも???
◎彼は知らなかった、どのようにゼロが26あるって知ったのかさえそもそも???
文の前後関係
文の前段階を確認して手がかりを追加します。
読み書きを教えて欲しいとスタンレイに頼むゼロくん。
文字を読めないことに驚くスタンレイでしたが、手始めに英語のアルファベットから教えることにします。
A~Zまでのアルファベットが、大文字小文字の2パターンあることを伝えます。
すると、「じゃあ全部で52個あるんだね」とゼロくん。
字が読めないのに、計算はできるのだろうか?
スタンレイはゼロくんを訝しく思うのでした。
そんな件りでございます。
He didn’t even know how Zero knew there were twenty-six in the first place.
(彼は知らなかった、どのようにゼロが26あるって知ったのかさえそもそも???)
そしてevenを考える
ゼロくんは、スタンレイの後に続いてアルファベットを復唱しただけです。
それなのに、52という数字を言い当てました。
「52」という数字にたどり着くためには、「26x2」という計算をする必要があります。
しかしながら、そもそも、26という数字すら出てきていません。
ここでevenにつながりそうな「~すら」というキーワードが出てきました。
アルファベット総数の手がかりである「26」という断片すら出てきていないのに、どうやってゼロくんは52という総数を知り得たのだろうか。
この、「26すら」がevenです。
1.どうやって52ってわかったの?
↓
2.26を2倍にすれば52だよ
↓
3.26ってどこから出てきたの?
↓
4.わからん
「4」でわからないから、「3」「2」「1」と、どんどんプロセスを遡りますよね。
判断するポイントを遡っている
↓
判断する基準を動かしている
ということです。
そして、判断基準をこれ以上ない「1」まで最大限に動かしても、didn’t knowが成立します
この、「判断基準を最大限に動かしても、均等になる(成立する)」というのがevenなわけですよ。
以上を踏まえまして。
本日の例文を見てみましょう。
He didn’t even know how Zero knew there were twenty-six in the first place.
(彼は知らなかった、どのようにゼロが26あるって知ったのかさえそもそも???)
evenには、「判断基準を最大限に動かしても、条件は成立する」という日本語が当てはまるのでしたね。
つまり、
He didn’t even know how Zero knew there were twenty-six in the first place.
(思い切って判断基準を「そもそもゼロがどのようにして26個あると知ったのか」というポイントに動かしても、「彼にはわからなかった」という条件は成立する)
↑こんな日本語にすることができます。
これを、段階を追って自然な日本語訳にしてみましょう。
(思い切って判断基準を「そもそもゼロがどのようにして26個あると知ったのか」というポイントに動かしても、「スタンレイにはわからなかった」という条件は成立する)
↓
He didn’t even know how Zero knew there were twenty-six in the first place.
(そもそもゼロがどのようにして26個あると知ったのかさえ、スタンレイにはわからなかった)
ウェーイ。
答え合わせ。
幸田さんの日本語訳を見てみましょう。
幸田敦子さん訳:穴 より
アルファベットが26文字だということをゼロがどうして知っているのか、それからしてわからなかった。
1日休みをもらうより、X線に気に入られる方が、ずっとずっと大切だ
「そこまで遡ってもわからなかった」
「基準をそこまで動かしてもわからなかった」
「それからしてわからなかった」
僕の中のevenのイメージ、伝わりましたでしょうか!
と、いうわけで。
以上、evenは「基準を最大限に動かしても」でした!!
◆本日の参考図書
英語学習で一番大切なことって知ってます?ぼくしってる。本出してるし
コメント