先日、ようやく鴨長明さんの方丈記を読みました。
実際読んでみると、
「えっ、そんなお話だったの?!」
と驚いてオシッコちびったので、皆様にも概要をシャァしたいと思いますよ!
キーワードは、
「ミニマリスト」「セミリタイア」「キャンピングシェル」
です。
「方丈」の意味
まずは方丈記の「方丈」の意味について考えてみます。
方丈って、なに?
●丈とは?
Weblio古典辞典
丈 より
①長さの単位を表す。一丈は十尺で、約三メートル。
●方とは?
Weblio古典辞典
方より
③正方形。正方形の一辺。
つまり、方丈とは、「3m四方の正方形」という意味。
著者は鴨長明さん
方丈記の著者は、鴨長明(かものちょうめい)さん。
元々は由緒ある神社の高職の跡取り息子で、現代でいう将来安泰のエリート。
しかしながら、父親が亡くなり、強力なコネも泡沫。
出世争いから弾き出されてしまいます。
さらに、京を襲う大火事、大嵐、大地震、大飢饉、気まぐれな遷都。
天災、人災ひっくるめ、厄災が次々と京の都を襲います。
立派な家を建てても、火事になれば焼けてなくなる。
大嵐が来れば門も屋根もふっ飛ばされる。
大地震が来れば壁も柱も崩れ落ちる。
大飢饉になればどんなに立派だった豪族も、物乞いをして回る、いとあはれなる姿に。
自然災害だけならまだ諦めもつきますが、
「みやこを移すぞ―」
↓
「やっぱやめるぞー」
お上の気まぐれに振り回され、引っ越しして家を建てちゃった人たちにはもう目も当てられない有り様です。
身分だとか家柄だとか、お屋敷だとか。
心身をすり減らして築き上げてきたものが、
一瞬で崩れ去る様を目の当たりにした長明さん。
世は無常なり
儚み、絶望し、とうとう出家して京から離れ、
山奥で世捨て人として生きてゆく選択をします。
方丈記は、そんな世を捨てた鴨長明さんの独り物語なのです。
鴨長明さんはミニマリスト
家なんていつ消えて無くなるかわからない。
だったら、最初から手間もお金もかけず、
簡易なものですませばいいじゃない。
実際にそう考えたかどうかは尻ませんが、
長明さんは京から離れた山奥に、3m四方のささやかな家を建てることにします。
しかも自分で。
自分で建てれば工賃ゼロ。
建築の心得はないのでたいそうなものは作れませんが、
でもそれが、逆にシンプルでよいのかもしんない。
荷物も4畳半に収めなければなりませんから、
持ち物も厳選されたものになります。
究極なシンプル生活。
そうです、方丈記は、ミニマリストのお話しでもあるのです。
鴨長明さんはセミリタイア者
当時はリモートワークなんてありませんから、
山奥に籠もってしまってはお勤めもできません。
お務めをしていませんから、お給金も貰えません。
だもんで長明さんは、収入ゼロに見合った暮らし、
即ち自給自足生活を始めます。
山奥に、文明はありません。
しかしながらその代わり、あたり一面大自然。
野草や樹の実、火を起こす薪などが豊富にあるわけです。
服も藤を編んで自作。プライベート・ブランド。
ベッドも摘んできた蕨を敷き詰めて拵えます。
収入はない。
だけれどもしかし。
ストレスもない。
見栄も虚勢も必要ない。
嘘もない。
偽りもない。
お尻も拭かない。
何も足さない。
何も引かない。
身の丈に合ったシンプルライフ。
好きな時間に寝て、好きな時間に起きて、好きなことをして過ごす毎日。
贅沢はないけれど、自分らしさがある。
そうです、方丈記は、
「セミリタイア者の物語」
でもあるわけです。
しかもお家は移動式
しかもこの3m四方の方丈庵。
なんと組み立て式で移動式です。
違う景色を眺めて過ごしたくなったら、
家をバラして荷車に載せて、またどこかへ流浪れることもできちゃうわけです。
それって、キャンピングカーじゃん
気の向くまま、家と共に好きな場所へと放浪する暮らし。
そうです、これって、キャンピングカー生活に通ずるところがありますよね。
私も一時期、軽トラの荷台に載せてキャンピングカーにできる「キャンピングシェル」の購入を本気で考えていた時期があります。
軽トラの荷台に載せるとキャンピングカーになる"キャンピングシェル"通称軽キャン
— ょぅぃち46マグナム感無量🥴 (@soijoi_world) July 31, 2023
車検時に降ろせるので維持費も軽自動車のままという夢のようなギミック
こんな軽キャン作って湯布院行って1ヶ月くらい滞在しながらノマドワークできたら最高だろうなあ なんて妄想しながらBlenderで遊んでた https://t.co/U9cT0ijEr0 pic.twitter.com/966KAfJ4pB
「なんか温泉浸かってゆっくりしてぇな」
と思ったら、軽トラで大分に向かって走り出せばいいわけです。
そして温泉浸かって、ホカホカしたまま歯を磨いてにんにく注射撃ってキャンピングシェルのベッドで就寝。
もちろん朝は温泉で朝風呂さ。
そんな住む場所にとらわれない夢のような生活が、
平安~鎌倉の時代にから既にあったのかと思うと、より一層ロマンなのであります。
方丈庵内覧ツアー
方丈庵には、以下のような設備が完備されていたとされています。
東の壁:仏事
一応出家して僧になってるので、形だけでもあったほうがいいかなー、って。
西の壁:書斎、収納
簡易的な机があり、書を読んだり書いたり(方丈記もここで書いた)。写経をしたり、しなかったり。
デッドスペースを活用するため、竹で作った棚を吊って、書物や琵琶・琴を収納。
南:出入り口兼縁側
採光とか大事。外を見ながらボケーっとしたい。
北の壁:寝床
蕨ベッド。蕨は寝心地いいのだろうか。とか。虫湧かないんかな。とか。考えてしまう。
隅(方角不明):竈
簡易キッチンもあり。火の元注意。
つまり、方丈はロマンってこと
僕ももう少し歳をとってクソジジイになったら、
あまり不便過ぎない場所に土地を買って、
長明さんが建てた方丈庵のような、ささやかな家を建てたいと思っています。
最高にシンプルで、それでいて生活に足りないものはない。
最高に充足した、そんなマイ・リトル・ハウス。
どこに、何を置こうか考えると、今から楽しみです。
お嫁さん貰って家庭を持っていたらできなかっただろうなあ
そう考えると、独身という身分も悪くないかなって。
思うことにしたい。
と、いうわけで。
当初のイメージとはまったく違った方丈記。
まさかミニマリストでセミリタイアなキャンピングカーのお話だったなんてね。
鴨長明さんは800年ほど前の人なのですが、なんだか僕と感性というか思考が似ていて、
同じ時代を生きていたら、もしかしたら仲良くなっていたのかなー、なんて考えたりもしますが、
僕はどちらかというと同族を嫌悪しちゃう性質なので、やっぱ長明ダメかもー。
原文だと非常に読み難いので、現代訳付きのがオススメです。



他にも「超訳」「新訳」と冠しているものもありますが、
これだとちょっと現代に寄せすぎ(スマホとか電車が出て来る)だったりして、
元のテイストが薄まりすぎるきらいもあるので、
その辺留意しながら自分の一冊を選んでみてくださいな。
みなさまの生き方の選択肢が、ひとつ増えたり、減ったりするかもしれませんよ。
そんなわけで以上、方丈記はミニマリストでセミリタイアなお話!!でしたー。
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