「品詞」と「文の要素」の違いって知ってます?僕しらない。一文一動詞で文を分ける理由とは。

英語
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当ブログぴーではもはやおなじみの必殺「長文読解で悩んだら一文一動詞」

やり方はこれまで何十万回何百万回と説明をしてまいりましたが。

そう言へば、

「何のために一文一動詞で文を分けるのか」

の説明はほとんどしてこなかったなあとふと気付きましたため、

本日はそのへんのところを解説してみようと思いましたよさてみなさま以下の文。

適切な和訳をつけれれますですかねみなさま。

ぼくできない。

He headed in what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼は中へ向かった彼が考えたものがそのでかい親指の方向だった???)

例文は、ルイス・サッカーさんのHolesより

なぜ一文一動詞で文を分けるのか

わたしはこれまで、

「長文読解で悩んだら一文一動詞で文を分けましょう」

と説明してきました。

理由はもちろん、「そうした方が複雑な文を読み解きやすくなるから」です。

ではなぜ読み解きやすくなるのでしょう。

それは、「文の要素を明確にしやすくなるから」です。

 

文の要素とは?

表現のためのロイヤル英文法
文の要素と修飾語句 より

主語、述語動詞、目的語、補語を文の要素といい、これらを修飾したり限定したりする語句を修飾語句という

いわゆるSVOCMというやつです。

主語:S
述語:V
目的語:O
補語:C
修飾語:M

 

品詞との違い

文の要素は、「品詞」とは別物なので、勘違いしないように注意が必要です。

品詞は全部で8個あります。

表現のためのロイヤル英文法
品詞 より

名詞
代名詞
形容詞
動詞
副詞
前置詞
接続詞
間投詞

「品詞」と「文の要素」の違いを頭の片隅に入れておいてくださいね。

 

 

一文には動詞がひとつだけ

英語に限りませんが、文の骨組みには動詞がひとつしかありません。

その特性を活かした長文読解法が、わたくしが重宝している「一文一動詞」なのです。

 

でも動詞いっぱいあるじゃん

しかしながら、本日の例文を見てみますれば、

He headed in what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼は中へ向かった彼が考えたものがそのでかい親指の方向だった???)

動詞がいっぱいあるじゃんとみなさまは思うことでしょう。

headed
thought
was

動詞が3つあるということは、じゃあこの文は3つの文と考えるべきなのでしょうか。

答えは否です。

この問題の味噌は、「節」です。

 

ちなみにうちは、合わせ味噌です。

 

節とは?

表現のためのロイヤル英文法
節 より

いくつかの語が集まって文の一部を構成するとともに、それ自体の中に<主語+述語>を備えているものをという。

そして、特に名詞節は、文の中で色々な要素になります。

表現のためのロイヤル英文法
名詞節 より

名詞節は、接続詞(thst, whether, if)、 疑問詞(who、whichなど)、関係詞(what、whateverなど)に導かれ、文の主語目的語補語になり、またある種の名詞について同格節になる。

つまり、動詞があったとしても、

主語を作ってる動詞だったり、

補語を作ってる動詞だったり、

目的語を作ってる動詞だったり、

何か別の役割として存在している可能性があるわけです。

「動詞がたくさんあるけど、一文一動詞という原則は破られていない」と説明したのは、こういったカラクリがあるからなのです。

 

一文一動詞で文を分ける意味

ここまでの内容を踏まえつつ、実際に一文一動詞で文を分けながら考えを深めてみましょう。

He headed in what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼は中へ向かった彼が考えたものがそのでかい親指の方向だった???)

動詞は、

headed
thought
was

の3つでしたね。

一文一動詞になるよう文を分けます。

1.He headed in what

2.he thought

3.was the direction of Big Thumb.

分を分けたら、それぞれに日本語訳をつけます。

1.He headed in what
(彼は~なことの中へ向かった)

2.he thought
(彼は考えた)

3.was the direction of Big Thumb.
(~が大きな親指の方向だった)

まずは考えやすい「3」の文から見てみます。

いきなりbe動詞のwasから始まっています。

be動詞には主語が必要ですから、前方に主語を探します。

前方と言えば、「2」の文ですね。

2.he thought
(彼は考えた)

しかしながら、wasの直前にあるのは動詞のthought

これは主語になれません。

さらにその前のheは、wasの主語になれますが、そうすっとthoughtが一人だけ浮いてしまいます。

もっと手がかりはないのか!

と、さらに前を見れば、「1」の文にwhatがあります。

1.He headed in what
(彼は~なことの中へ向かった)

2.he thought
(彼は考えた)

このwhatは、「2」の文の先頭に持ってきて、

1.He headed in (what)
(彼は~の中へ向かった)

2.what he thought
(彼が考えたこと)

what he thoughtという塊で考えたほうが良いのではないか。

という風に読解が進んでいくわけです。

 

一文一動詞で、塊が見える

このように、一文一動詞で文を分けると、「カタマリ」が見えるようになります。

「カタマリ」が見えると、文の要素が見えてきます。

文の要素とは、「主語S」や「述語V」、「目的語O」などのことでしたね。

それを踏まえ、本日の例文を見てみます。

1.He headed in (what)
(彼は~の中へ向かった)

2.what he thought
(彼が考えたこと

3.was the direction of Big Thumb.
(~は大きな親指の方向だった)

whatを「2」の文に持ってきた結果、「彼が考えたこと」という名詞節として解釈ができるようになりました。

名詞節ということは、主語になれます。

つまり、「2」の文は、そのカタマリで「3」の文の主語なんじゃねえか?

という道筋が見えてくるわけです。

 

でも、それじゃ意味おかしくね?

実際に、「2」と「3」の文をくっつけてみましょう。

2.what he thought
(彼が考えたこと)

3.was the direction of Big Thumb.
(~は大きな親指の方向だった)

2+3.what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼が考えたことは、大きな親指の方向だった)

主語(主部)があって、wasが続く。

文の要素的には辻褄が合いました。

しかしながら、意味としてはあんまりしっくり来ませんね。

これは、なぜでしょうか。

 

文脈も大事

当てはめた日本語訳がしっくり来なかった場合、別の解釈を考える必要があります。

英語に限らず、複数の解釈が成り立ってしまう文というものはあります。

例)
私は公園で友達と一緒に犬を見た人に会った。

A.私は会った、友達と一緒に公園で犬を見た人と
B.私は公園で会った、友達と一緒に犬を見た人と

Aの文は、どこで会ったかはわかりません。
Bの文は、どこで犬を見たかは不明です。

2通りの解釈ができます。

これと同じことが、本日の例文でも起きている可能性があるということですね。

2+3.what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼が考えたことは、大きな親指の方向だった???)

 

解釈2:think that~構文

thinkを見たら、この構文がピンとくるようになると、長文読解が捗ります。

徹底例解ロイヤル英文法
that節を目的語にとる他動詞 より

(a)思考・認識などを表す動詞
I think (that) he will accept the job
(私は彼がその仕事を引き受けると思う)

「Sが、[S1が Vする]と思う・考える

という意味を表す構文ですね。

 

でもthatないじゃん。

しかしながら、think that~構文と言いつつ、

さきほど組んだ「2+3」の文に、thatがありません。

2+3.what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼が考えたことは、大きな親指の方向だった???)

それは、thatが省略されやすい特性を持っているからと考えられます。

徹底例解ロイヤル英文法
that節を目的語にとる他動詞 より

注1.thatの省略:
口語ではthatが省略されることが多い。
省略についての特に確立したルールはないが、I think[hope, say]などのように日常よく用いられる表現では、この部分がthat節の内容に比べて意味が軽いと考えられるため特に省略されることが多い。

 

think that構文で考えると

thatを補いつつ、「2+3」の文をthink that~構文で考えますと、

2+3.what he thought (that) was the direction of Big Thumb.
(彼が、それを大きな親指の方向と考えたこと)

という解釈になります。

一応、日本語としては辻褄が合いました。

先ほどは、「what he thought」というカタマリで考え、

「彼が考えたことは」という主語にしていました。

しかしながらthink that~構文で考えますと、

whatという関係代名詞は、「he thought」だけにかかっていたわけではなく、

「he thought (that) was the direction of Big Thumb」全体にかかっている。

そう解釈することができるわけですね。

2+3.what he thought (that) was the direction of Big Thumb.
(彼が、それを大きな親指の方向と考えたこと

 

「1」と「2+3」の関係

それでは、「1」の文と「2+3」の文をつなげて見ましょう。

1.He headed in (what)
(彼は~の中へ向かった)

2+3.what he thought (that) was the direction of Big Thumb.
(彼が、それを大きな親指の方向と考えたこと)

He headed in what he thought (that) was the direction of Big Thumb.
(彼は、彼が、それが大きな親指の方向だ、と考えたことの中へ向かった)

あとちょっとで何か生まれそうな気がしてきませんでしょうかみなさま!

 

inの意味

inには、「~の中へ」だけではなく、

「~の方向へ」という使い方もあります。

ジーニアス英和辞典 より

in 前置詞
c 略式 運動・方向
…の方角へ

He headed in what he thought (that) was the direction of Big Thumb.
(彼は、彼が、それが大きな親指の方向だ、と考えたことの方角へ向かった)

 

以上を踏まえまして。

材料が揃った所で本日の例文を見てみましょう。

He headed in what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼は中へ向かった彼が考えたものがそのでかい親指の方向だった???)

一文一動詞で文を分けると、以下のようになります。

1.He headed in (what)
(彼は~なことの中へ向かった)

2.what he thought
(彼は考えた)

3.was the direction of Big Thumb.
(~が大きな親指の方向だった)

 

「2」の文は、「3」の文に繋がります。

1.He headed in (what)
(彼は~の中へ向かった)

2+3.what he thought was the direction of Big Thumb.
(彼が考えたことは、大きな親指の方向だった)

 

ほいで、「2+3」の文は、think that構文でしたね。

2+3.what he thought (that) was the direction of Big Thumb.
(彼が、それを大きな親指の方向と考えたこと)

この解釈で「1」の文と「2+3」の文をくっつけると、

He headed in what he thought (that) was the direction of Big Thumb.
(彼は、彼が、それが大きな親指の方向だ、と考えたことの方角へ向かった)

少し自然な日本語にすると、

(彼は、彼が、それが大きな親指の方向だ、と考えたことの方角へ向かった)

(彼は、大きな親指があると思われる方角へと向かった)

こんな解釈でいかがでしょうかみなさま!

 

答え合わせ。

それでは幸田さんがどう和訳したのか、答え合わせをしてみましょう。

幸田敦子さん訳:穴 より

スタンリーは、<巨大な親指>の方角だと思う方へ、ずんずんと歩いていった。

巨大な親指の方角だと考えた、その方向へ

think that 構文と、whatが指し示す範囲を把握できていれば、

ひとまずは合格点なのではないでしょうか!

ウェイヨー!!

と、いうわけで。

一文一動詞で文を分けると、カタマリが把握しやすくなります。

何が主語のカタマリで、

何が補語のカタマリで、

何が修飾語のカタマリで、

といった具合に「文の要素のカタマリ」が把握できれば、

長文読解の難易度はドンドンお手頃価格になっていくわけなんですねー。

そんなわけで、引き続き頑張りましょー。

さいならー。

◆本日の参考図書

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